『氷点』[ 敵 ]9 そう思いながら、夏枝…………

そう思いながら、夏枝は背を向けたまま立っている村井の、長身の白い背広姿を見上げて微笑した。つつましやかな、整った夏枝の唇が、ほほえむと意外に肉感的に見える。それは二十六歳の若さの故ばかりではなかった。 〈作品本文の凡例〉 … 続きを読む 『氷点』[ 敵 ]9 そう思いながら、夏枝…………